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HARUのスローライフ日記

~死す時は宮古の海に抱かれて~

(5/21)「蒼天に向かって!~前編~」の巻 

20160521 (1)
まだパソコンもスマートフォンもない、遠い遠いあの日――。
俺はバンド活動にのめり込んでいた。
今はもうなくなってしまったが、原宿の歩行者天国、通称”ホコ天”で、毎週日曜日に路上ライブを行っていた。

当時流行っていた、いわゆる”バンドブーム”に乗っかったわけではなく、もっと純粋な気持ちから音楽を始めた。
週3回のスタジオリハーサル、日曜日はホコ天ライブ、その他の日は、作詞作曲、個人練習などに没頭する日々。
それらをこなしながら、週に6日はバイトもこなした。

殺人的スケジュールだったが、当時はそれが当たり前だったし、苦と思ったことなど一度もなかった。
いつかデビューしてやるんだ――、という強い気持ちが俺たちを突き動かしていたのかもしれない。
いま振り返ると、それこそが”青春”というものだったのだろう。

俗的に表現すると、当時の俺はナイフのように尖っていて、多くの人を傷つけ、悲しませたに違いない。
人への思いやりや、協調性というものが完全に欠落した人間だった。
そのことに自分が気づいていたのかどうかは、今となってはもう知る由もない。
おそらく当時の俺には、輝く未来へと続く1本の道しか見えておらず、まわりの景色など目に入らなかったのだろう。

当時の1日1日には、意味があり、可能性があり、輝きに満ち溢れていた。
現在の1日1日には、何の意味も、可能性もなく、昨日は今日であり、今日は明日でしかない。
日々めくるカレンダーは、そう遠くない未来に訪れる死へのカウントダウンであり、日付は単なる記号でしかない。

死の間際、もしも願い事がひとつだけ叶うなら、何の迷いもなく俺はあの日に帰ることを望むだろう。
もしこの写真の日に戻ることができるのなら、当時の1日と、現在の10年とを交換しても構わない。
何の輝きも放たないまま、ダラダラ過ごすだけの退屈な10年より、一瞬でもダイヤモンドのような輝きを放つ1日の命を選ぶ。
あの日の風、あの日の日射し、あの日の匂い、あの日の喧騒、そのすべてを余すことなく全身で感じたい。

そして、最高のファンたちの前で、最高の仲間たちと、青春の歌を高らかに響かせるんだ――。
透明なほど汚れのない純粋な気持ちのままで――。
どこまでも突き抜けるような蒼天に向かって――。


――つづく――
2016/05/21 Sat. 23:00 | trackback: -- | comment: -- | edit