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HARUのスローライフ日記

~死す時は宮古の海に抱かれて~

(5/23)「蒼天に向かって!~後編~」の巻  

――つづき――

長い空白の時間を一気に埋めるように、誰からともなく、あの日の自分たちのことを語り始めた。
遠かった記憶が呼び覚まされていく。
個人の狭い記憶でしかなかったあの日の様子が、多角的な視野から検証され、当時の全体像を捉え始めた。

忘れていた出来事、いつのまにか美化されていた出来事、各自の記憶を繋ぎ合わせる作業。
それぞれが抱いていた感情や想いは、俺の記憶に上書きされていき、記憶は鮮明さを増した。
過去の古びたセピア色の写真が、画質補正によってカラー化されていくような感覚だった。

その後、カラオケ店に行くことになった。
当時流行っていた曲が次々にセットされていく。
今の若者にはわからない曲ばかりだ。

最初は懐かしい気持ちで聴いていたのだが、徐々に心の奥が哀しい影で覆われていった。
”懐かしさ”とは、”もう戻れない過去”を意味している。
自分自身、気づかないフリをしていたが、やはりその現実から目をそむけることはできなかった。

本当に充実しているとき、人は過去を振り返ったりはしない。
今に失望しているからこそ、遠い思い出を誰かと語り合い共有したくなるのだ。
だが、どれほど当時を振り返ってみても、もうそこには戻れはしない。

20160521 (3)
窓の外に目をやると、人間の営みを彩るネオンライトが、冷たい光を放って夜の空虚さを照らしていた――。
2016/05/23 Mon. 23:00 | trackback: -- | comment: -- | edit