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HARUのスローライフ日記

~死す時は宮古の海に抱かれて~

(1/2)「その手の温もりと力強さに!」の巻 

俺の中の価値観を揺るがすような出会いだった。
目の不自由な方とたまたま接する機会があったのだ。
視覚に障害を持つ方を、街や電車で見かけることはあっても、実際に接したことは今まで一度もなかった。

年齢は20代後半ぐらいだろうか、その方とは30分ほど会話をした。
最初はどう接していいのかまったく分からず困惑したが、実際に話してみると、その方は健常者と何も変わらなかった。
目が見えないとは思えないほど、周りの状況をすべて理解していた。

どうやって状況を伝えたらいいか戸惑っている俺に対し、その方は何事もないかのように落ち着いている。
おそらく指先の感覚が研ぎ澄まされているのだろう、触っただけで、こちらが気づかないようなことまですべて理解してくれた。
肩に腕を回し、狭い道をゆっくりとエスコートしたのだが、その足どりは俺の補助などまったく必要としないくらいしっかりとしていた。

その方は明るい性格で、はきはきした口調で話し、好奇心旺盛で、とても幸せそうだった。
握った手の温もりと力強さ、本当にこの人は目が見えないのだろうか――、と何度も我が目を疑った。
最後は駅に行く道まで案内し別れた。

立ち去るその方の後ろ姿を見て、俺は自分の生き方が恥ずかしくなった。
うじうじと過去ばかり振り返り、人生の不満ばかり口にする自分。
俺はいったい何をやっているんだ。
俺が悲観していることなど、どれだけちっぽけなことだろう。

もっと強くなれ。
やろうと思えばなんだってできるじゃないか。
何かをやらない理由なんてどこにもない、もっと勇気をもて――。

あの人の後ろ姿はそう語っているようだった。

あの手の温もりと力強さを俺は生涯忘れない――。
2017/01/02 Mon. 23:00 | trackback: -- | comment: -- | edit