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HARUのスローライフ日記

~死す時は宮古の海に抱かれて~

(6/12)「さまよえる亡霊」の巻 

「網膜色素変性症」の検査を受けてきた。
いくつかの検査があり、中には身体的にかなり辛い検査もあった。
それでも何とか無事にすべての検査を終えた。
病院を出たのは、診察券を出してから約3時間後のことだった。

結果は「網膜色素変性症」の兆候は「今のところ見られない」とのこと。
安堵した瞬間だった。
しかしその代わりに「緑内障」の可能性が懸念されるらしい。

「緑内障」――?
まったくノーマークだった病名。
どうやらその兆候と思われる症状が確認できるらしいのだ。

とりあえず、また半年後くらいに「緑内障」の検査を受けた方がいいとのことだった。
その後も定期的な検査を勧められた。
予期せぬ展開になったが、意外にも俺はそれほど驚かなかった。

それは「緑内障」を軽く考えているからではなく、もう人生を諦めてしまっているからだ。
今さら「緑内障」だと言われたところで、俺の絶望感に何の変わりがあるだろう。
もうどうでもいい。

「右目の白目に浮き出た血管」に関して訊いた。
やはりこれは「もうどうにもならない」らしい。
医師は事務的な口調で俺にそう告げた。

20170612 (1)
とりあえず、ドライアイの症状を緩和する点眼剤を2種類処方してもらった。
ドライアイの症状が緩和されたところで、この目の血管が消えることはない。
人と目を合わせることができない生活が、今後もずっと続いていくのだ。

20170612 (2)
会計が終わったとき、院内に残された患者は俺一人だけだった。
薄暗くガランとした院内。
日中はいつも賑わっている廊下は、不気味なほどの静寂さに包まれていた。

なんとなく自分の心の中を見ているような気がした。
あるいは自分のこれからの未来なのかもしれない。
打ち寄せた波が、静かに海に帰っていくように、俺の人生からあらゆるものが消えていくような、そんな寂しさを感じた。

俺の未来は99%終わった。
生きる望みだった人生における「生きがい」「目標」「夢」は、「この目」によって、すべて潰えた(ついえた)。
右目に生成された、わずか数ミリ、いや、わずか数ミクロンの血管によって。
そしてそれは、すべて自分自身の過ちのせい。

帰路についた俺は、魂を失った亡霊のように、駅のホームに立ち尽くしていた――。
2017/06/12 Mon. 23:00 | trackback: -- | comment: -- | edit